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焼津の漁業と焼津神社の歴史― 焼津神社クラウドファンディング講話に参加して


私たち巻田油業は、大正元年創業以来、地元・焼津の皆さまの暮らしとともに歩んできました。日々の燃料販売業務を通じた暮らしの支えとしてだけではなく、「地域の一員」として、地元の風土や文化を大切にしたいという思いを強く抱いています。


そんな中、このたびご縁をいただいたのが、焼津神社を未来へつなぐクラウドファンディングへの協賛でした。


焼津神社は、焼津の歴史と信仰を象徴する神社として、地元の方々に長年親しまれてきました。古くは日本最古の歴史書「古事記」に、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)ゆかりの伝承が残され、また地元漁業の守護神としても信仰されてきた由緒ある神社です。


日本武尊の御事蹟を称え、千六百年の歴史と文化を未来へ繋ぐプロジェクトとして始まったクラウドファンディングでは、焼津の新たなシンボルとして日本武尊の銅像を完成させることが目的とされています。


企業として地域に根ざしたこうした取り組みに貢献できることは、私たちにとっても大きな喜びです。


クラウドファンディングのリターンとして開催されたのが、宮司による特別講話「焼津神社と漁業の歴史」。

当日は静かな社務所の一室で、神聖な空気の中、焼津の歩みと信仰の関わりについてじっくりとお話を伺うことができました。


特に印象深かったのが、焼津の漁業発展に多大な功績を残した「水産三翁」と称される三人の偉人たちのお話です。

  • 片山翁:日本でいち早く木造漁船にエンジンを搭載するという、当時としては大胆な技術革新に挑戦。効率的かつ広範囲な漁が可能となり、焼津の漁業に新たな風を吹き込みました。

  • 山口翁:漁業者同士の対立や非効率さが課題だった時代に、組合を組織。漁のルールを整え、公平かつ持続可能な漁業体制を築いた立役者です。

  • 服部翁:地方政治に携わる中で、水産行政を推進。漁業者の生活や産業の地位向上に努め、制度の面から焼津の漁業を支えました。


どの方も、ただの技術者や政治家ではなく、「焼津の未来を見据えた行動者」であったことが伝わり、今の私たちが日常的に享受している海の恵みは、こうした先人たちの努力の上に成り立っているのだと深く感じました。


また、焼津神社では今も受け継がれている「掛魚」の奉納についても紹介されました。これは、漁の安全と豊漁を祈って、生きのよい魚を神前に捧げる伝統であり、まさに「漁業と信仰」が一体となっていた証です。



拝殿の鈴緒は、この編み方は結んだらほどけにくく、ほどくときには絡まりにくく、そして美しい網目となる漁師が使う紐の結びで編んでいるそうです。荒祭で知られる焼津神社のお神輿にもこの結び方が活用されているとのことで、漁業と神社のつながりを深く感じました。

今回の講話後、祝詞の浄書体験用紙をいただく機会がありました。後日自宅で取り組めるようにとの配慮で、紙と筆記のコツを教えていただき、持ち帰らせていただきました。

宮司からは「浄書は自分の内面を見つめる儀式のようなもの。まずは深い呼吸で心を整えてから筆をとるように」とご助言もいただきました。


今回の講話を通じて、「文化を守る」という行為が、決して過去にしがみつくことではなく、「地域の未来を考えること」そのものであると感じました。


神社、漁業、信仰、文化、暮らし――すべてが重なり合って今の焼津があります。

私たち巻田油業も、これからも地域の皆さまとのつながりを大切にしながら、地元を支え、未来へつなぐ存在であり続けたいと、改めて強く思いました。


こうした貴重な機会をくださった焼津神社の皆さま、クラウドファンディング運営の皆さまに、心より感謝申し上げます。

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